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岐阜地方裁判所 昭和43年(行ウ)7号 判決 1969年2月27日

中津川市本町二丁目一番二号

四ツ目川会館ハウス内

原告

中津川勤労者音楽協議会

右代表者運営委員長

長瀬信夫

右訴訟代理人弁護士

大矢和徳

原山剛三

佐藤典子

郷成文

被告

中津川税務署長

桐谷可道

右指定代理人

松沢智

加藤元人

永井敬一

高橋多嘉司

伊藤新吉

郡保

平野由男

右当事者間の昭和四三年(行ウ)第七号課税処分取消請求事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告が原告に対し、昭和四二年九月一一日付入場税決定および加算税賦課決定通知書をもつてなした昭和四二年三月、五月、七月分入場税金二万五、〇〇〇円および加算税金二、四〇〇円の賦課処分はこれを取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求原因として、「原告は、中津川市およびその周辺に居住、勤務もしくは通学する音楽愛好家のサークルを単位として組織された団体であつて、講学上いわゆる権利能力なき社団といわれるものであるが、労音運動の目的に従つて、例会活動(会員の自主的な企画運営による定期的な音楽会の開催)を行つたところ、被告はこれを興行とみなし請求の趣旨記載のとおり入場税を賦課してきた。これに対し、原告は昭和四二年一〇月一二日異議申立をしたが、翌四三年一月六日棄却され、欠いで、同年二月七日審査請求をしたが、これも同年五月二〇日棄却され、その裁決書謄本は同月二四日原告に送達された。しかしながら、本件課税処分は違法であるから、その取消しを求める。」と述べ、被告の本案前の抗弁事実は認めると述べた。

被告指定代理人は、主文同の判決を求め、その理由として、「行政事件訴訟法第一四条によれば、行政庁の処分の取消しを求める訴は処分または裁決のあつたことを知つた日から三ケ月以内に提起しなければならないところ、本件訴は、原告が訴外名古屋国税局長の本件課税処分に係る審査請求の裁決書謄本(昭和四三年五月二〇日発送)を受領した日である昭和四三年五月二一日から三ケ月を経過した後に提起されたものであるから、不適法な訴として却下されるべきである。」と述べ、証拠として、乙第一号証の一、二、第二、第三号証を提出した。

理由

原告の本件訴は、被告のなした入場税賦課処分の取消しを求もるものであるから、行政事件訴訟法第一四条(なお、国税通則法第八七条参照)の定めるところにより、裁決があつたことを知つた日から三ケ月以内に提記されなければならないところ、名古屋国税局長の原告の審査請求に対する裁決書謄本が昭和四三年五月二一日原告に送達されたことは当事者間に争いがなく、従つて、原告は右同日名古屋国税局長の裁決があつたことを知つたものと推認され、そして、本件訴が同年八月二三日当裁判所に提記されたことは訴状に押捺された受付印によつて明らかである。そうすると、原告の本件訴は、原告が名古屋国税局長の裁決があつたことを知つた日から三ケ月を経過した後に提起されたものであつて、出訴期間を徒過した不適法な訴といわなければならない。

よつて、原告の本件訴を却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 丸山武夫 裁判官 川端浩 裁判官 北沢貞男)

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